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【実録】飲食店営業許可が下りない5つの理由と対策

2025年09月19日 21:44

飲食店を開業する夢を抱き、綿密な計画を立てて準備を進めてきたにもかかわらず、

いざ営業許可を申請しようとしたら「許可が下りない」という事態に直面すること

があります。そもそも法的な要件を満たしていない場合に起こり得ます。

今回は、飲食店営業許可が下りない主な5つの理由と、それぞれの対策について詳しく解説します。

これから開業を考えている方はもちろん、現在申請中の方もぜひ参考にしてください。

1. 施設の構造・設備が基準を満たしていない

飲食店営業許可を得る上で最も重要なのが、店舗の構造や設備が食品衛生法の基準を

満たしているかという点です。これは、お客様に安全な食品を提供するための最低限の

条件であり、保健所の検査でも厳しくチェックされます。

よくある不備の例:

手洗い設備が不十分: 調理場内、従業員用トイレなど、適切な場所に適切な数の手洗い設備が

設置されていない。石鹸や消毒液、ペーパータオルの設置も義務付けられています。

シンクの不足・不適切: 調理用、洗浄用など、用途に応じたシンクが複数設置されていない、

または大きさが不十分である。二槽式シンクが必須とされる場合が多いです。

換気設備の不備: 厨房内の適切な換気が行えない。グリストラップの設置が不十分である。

床・壁・天井の材質: 清掃しやすく、衛生的で耐久性のある材質が使用されていない。

冷蔵・冷凍設備の温度管理: 適切な温度管理ができる冷蔵・冷凍設備が設置されていない。

温度計の設置も必須です。

戸締まり・防虫・防鼠対策: 異物混入や害虫・害獣の侵入を防ぐための対策が不十分である。

対策:

設計段階から保健所の食品衛生監視員に相談し、事前相談を活用することをおすすめします。

地域の保健所のウェブサイトなどで、具体的な施設基準を確認し、設計者と綿密に打ち合わせを

行いましょう。既存物件を改装する場合は、基準を満たすための改修工事が必要になることを

考慮に入れてください。

2. 人的要件(食品衛生責任者)を満たしていない

飲食店を営業するには、食品衛生責任者を1名以上配置することが義務付けられています。

この食品衛生責任者は、食品衛生に関する知識を持ち、店舗の衛生管理を徹底する役割を担います。

よくある不備の例:

食品衛生責任者の資格を持っていない。

申請時に食品衛生責任者を決めていない。

対策:

食品衛生責任者の資格は、各自治体の食品衛生協会などが開催する「食品衛生責任者養成講習会」を

受講することで取得できます。調理師や栄養士、製菓衛生師などの資格を持っている場合は、

講習会を受けずに食品衛生責任者になることができます。開業準備と並行して、早めに講習会を受講するか、

資格保有者を見つける手配をしましょう。

3. 提出書類に不備がある

飲食店営業許可の申請には、多くの書類が必要です。これらの書類に不備があったり、不足していると

申請が受け付けられず、審査が遅れる原因となります。

よくある不備の例:

申請書の記入漏れや誤り。

店舗の平面図や設備の配置図が不正確、または不足している。

水質検査結果書(貯水槽使用の場合など)が添付されていない。

法人の場合は、登記簿謄本や定款の不足など。

対策:

申請書類は、保健所のウェブサイトや窓口で入手できます。必要書類のリストを確認し、

一つ一つ丁寧に準備しましょう。不明な点があれば、申請前に保健所に問い合わせて確認する

ことが重要です。特に、店舗の平面図は、設備の位置や給排水設備、換気扇の位置などを

正確に記入する必要があるため、専門家(設計士など)に依頼するのも有効です。

4. 事業計画や衛生管理計画が不明確

許可申請時には、単に施設が基準を満たしているだけでなく、どのように営業を行い、

どのように衛生管理を行うのかという事業計画や衛生管理計画が明確であることも求められます。

よくある不備の例:

どのような食品を提供し、どのように調理するのかが不明確である。

清掃や消毒、食材の管理方法などの衛生管理計画が具体的に定められていない。

HACCPに沿った衛生管理計画が不十分である。

対策:

具体的なメニュー内容や、食材の仕入れから調理、提供、そして残飯処理に至るまでの

一連の流れを明確にし、衛生管理のポイントを整理しましょう。

特に、2020年6月1日からは食品衛生法の改正により、原則として全ての食品等事業者に

HACCPに沿った衛生管理の導入が義務付けられています。

小規模な飲食店には「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」が求められるため、

これに沿った具体的な計画を策定する必要があります。

保健所のウェブサイトやセミナーなどを活用し、適切な衛生管理計画を作成しましょう。

5. 賃貸借契約や他の法令との兼ね合い

店舗の立地や建物の状況によっては、飲食店営業許可以外の法律や契約上の問題が発生し、

許可が下りないケースもあります。

よくある不備の例:

物件の賃貸借契約で、飲食店としての利用が禁止されている、または用途変更が許可されていない。

都市計画法や建築基準法など、他の法令に違反している可能性がある。

防火管理者や消防設備の設置義務を満たしていない。

対策:

物件契約を結ぶ前に、必ず物件のオーナーや管理会社に飲食店営業が可能か確認しましょう。

また、用途地域の確認や、消防法に関する規制なども事前に調べておく必要があります。

気軽に当行政書士事務所にご相談ください。

当事務所では、食品関連分野を得意とする行政書士が、以下のようなサポートを行っています。

・必要書類の作成・図面支援

・保健所への事前相談や立ち会い

・衛生管理計画やHACCP対応のサポート

・その他、店舗の衛生管理、調理場内の衛生チェック、メニュー管理など