不法就労のリスク管理だけでなく、特定技能制度などの活かし方(その2)
2026年06月18日 14:45
不法就労のリスク管理だけでなく、特定技能制度などの活かし方(その2)
飲食店や食品工場において、慢性的な人手不足は深刻な問題です。いまや外国人留学生のアルバイトやパートなしでは、日々の現場が回らないという店舗も少なくないでしょう。
前回は、これらの問題についての概略を説明しました。
今回は、具体的な対策について考察していきます。
店長・経営者が今すぐ実践すべき「防衛策」
同じリスクに巻き込まれないために、今日から店舗で徹底すべきチェックポイントを「採用時」と「シフト管理」の2つのフェーズに分けてまとめました。
1. 採用時の徹底チェック(在留カードの確認)
面接時には、必ず「在留カード」の本物を確認してください。
両面コピーの保管:表面の在留期限だけでなく、裏面の「資格外活動許可欄」に「原則週28時間以内」のスタンプがあるかを必ず確認し、両面をコピーして保管します。
就労可否の確認:持っている在留資格の種類で、本当に自店で働けるのかを確認します。
偽造カード対策:近年は巧妙な偽造カードも出回っています。出入国在留管理庁の「在留カード等番号失効情報照会」サイトなどを活用し、カードが有効か確認する癖をつけましょう。
2. 毎月のシフト管理の徹底
「雇って終わり」ではなく、日々の運用のコントロールが最も重要です。
「週28時間」の厳守と掛け持ち確認:この「28時間」は、他店でのアルバイト時間も含めた「通算」です。「うちの店では20時間だからセーフ」ではなく、他で掛け持ちをしていないか必ず本人に確認(可能であれば書面で確認)してください。
店長の独断シフトの禁止:店長が人手不足に悩んでしまい、労働基準法を無視した勝手なシフト組まないよう、本社人事部や経営者がシフト状況をダブルチェックする仕組みが必要です。
年齢と時間の制限:例えば、18歳未満の留学生は、労働基準法により深夜(22時〜翌5時)の勤務はできないなどです。
学校の授業時間:留学生の本分は勉強です。原則として、大学や日本語学校の授業時間中にシフトを入れることはできませんので注意が必要です。
リスク管理の先へ:特定技能などの制度を活かした「仲間」としての迎え方
ここまでで、「やってはいけないリスク管理」の話をしてきましたが、外国人雇用を単なる「人手不足の穴埋め」として捉える時代は終わりました。
これからは、彼らを大切な「仲間」として迎え入れ、長期的に活躍してもらう視点(攻め)が必要です。
留学生アルバイトの中には、日本の文化やあなたのお店を気に入り、「卒業後もここで働きたい」と願う優秀な人材が少なからずいると思います。
そこで注目したいのが「特定技能」という在留資格です。 外食業や飲食料品製造業(食品工場など)は、この特定技能の対象職種となっています。
所定の試験(日本語と技能試験)に合格すれば、留学生から「特定技能」へ在留資格を切り替えることが可能です。
特定技能になれば、週28時間の制限がなくなり、フルタイム(正社員・契約社員など)として長期的に働いてもらうことができるようになります。
「法律が厳しいから外国人は雇わない」と心を閉ざすのではなく、正しいルールを学んでリスクをコントロールし、ゆくゆくは「特定技能」などの制度を活用して、お店の主戦力や店長候補としての「仲間」になってもらう。そんな前向きな循環を作ることこそが、これからの飲食店や食品工場が生き残るための鍵となるはずです。
まずはすぐにできる範囲の事、例えば今夜のシフト表などや、スタッフの在留カードのチェックから始めてみませんか?少しづつ、自店の問題点が出てくるはずです。