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飲食店でも注意が必要? ― アナフィラキシーショックとは何か?

2025年07月29日 06:32

夏になるとキャンプなどアウトドア活動が盛んになりますが、

それと同時に注意すべきなのが「ハチ刺され」です。

私自身、今まで夏の暑い時期に、アシナガバチに刺された経験が2回あります。

子供の時は後頭部に刺されたことがあり、大人になってからは手に刺されました。

それぞれ、メチャメチャ痛かった思い出ですが、

幸いにもどちらの時も腫れと痛みだけで済みました。

大人になって、テレビや雑誌で「ハチに刺されて命を落とす」こともあると知り、

衝撃を受けたのを良く覚えています。

この命をおとすかもしれない原因となるのがアナフィラキシーショックです。

この記事では、アナフィラキシーショックの定義や最近の事故例、

さらに食品アレルゲンとの関係性について解説します。

アナフィラキシーショックとは?

アナフィラキシー(anaphylaxis)とは、アレルギー物質(アレルゲン)に

対して体が過剰に反応することによって起きる急性の全身的アレルギー反応です。

その中でも重篤な症状を「アナフィラキシーショック」と呼びます。

具体的には、次のような症状が短時間で同時に起こるのが特徴です。

家庭の医学事典などで調べてみると

・呼吸困難(気道の腫れ)

・血圧の急激な低下

・意識障害

・蕁麻疹、かゆみ、腫れ

・嘔吐、下痢、腹痛

などの症状が現れると書かれています。

人にもよりますが、これらの症状は数分以内にでることもあるようです。

また、治療が遅れると死に至ることもあるらしいため非常に危険です。

なお、本記事内では、アナフィラキシーショックにより引き起こされた

症状の重い危険な事例を略して単に「アナフィラキシー事故」と

呼ばせていただきます。

ハチ刺されによるアナフィラキシー事故の現状

環境省や厚生労働省の発表によれば、日本では年間約20人前後が

ハチ刺されによって死亡しており、その多くがアナフィラキシー事故によるものです。

特に多いのがスズメバチ、次いでアシナガバチ、ミツバチなどが原因です。

最近の事故例(2020年〜2024年)をピックアップしてみました。

・2022年8月:群馬県の登山者(60代男性)

→ 登山中にスズメバチに刺され、その場で意識を失い、ヘリで搬送されるも死亡。

・2023年9月:兵庫県の農作業中の女性

→ ミツバチに刺され、過去にも刺された経験があり、ショック症状を起こして搬送。

・2024年夏:長野県のキャンプ場で子どもがアナフィラキシー

→ 刺された後、嘔吐・息苦しさを訴え、EpiPen(エピペン)で救命。

これらの事例から分かるのは、一度刺されたことがある人は、

二度目以降に、重篤な反応(危険な症状)を起こす可能性が高いという点です。

キャンプやコンサートなど野外活動の多い夏場は特に注意が必要です。

理由はわかりませんが、私の場合は二度目に刺された際も、大事には至りませんでした。

非常にラッキーでした。

食品アレルゲンとの関係

アナフィラキシー事故はハチ刺されたケースだけでなく、

食物アレルギーでも起こる場合があります。

特に子どもに多く見られますが、大人でも発症例があります。

特定原材料とアレルギー表示制度

2025年6月現在、アレルギー表示が義務付けられている「特定原材料」は8品目です。

卵、乳、小麦、えび、かに、そば、落花生(ピーナッツ)、くるみ

これらは重篤なアレルギー反応(アナフィラキシー)を引き起こす可能性が高く、

加工食品には必ず表示しなければなりません。義務表示と呼ばれます。

また、表示が推奨されている「特定原材料に準ずるもの」は20品目あり、

アレルゲン管理の実務では非常に重要です。 こちらは、推奨表示や任意表示と呼ばれます。

食品によるアナフィラキシーの具体例

食品についても最近の事故例(2020年〜2024年)をピックアップしてみました。

・学校給食での事故(2021年・東京都)

→ 誤って卵入りメニューを提供された小学生がアナフィラキシーを発症。

・外食店でのナッツ使用(2023年・大阪市)

→ デザートに含まれていたくるみにより、アレルギー持ちの顧客が救急搬送。

・家庭の手作り弁当での混入(2024年・北海道)

→ 表示義務外のごまがアレルゲンとなり、高校生がアナフィラキシーを発症。

ハチと食物 ― どちらも「繰り返し」が鍵

アナフィラキシーの大きな特徴は、「一度目は軽症、二度目以降に重症化する」

傾向があることです。これは、体内に一度アレルゲンに対する抗体(IgE)ができ、

再度自分の体がアレルゲンと遭遇したと認識されたときに

体の免疫機能が過剰反応が起こすためです。

つまり、

・ハチに刺されたことがある人

・食品アレルギーの既往歴がある人

は、次の接触時(2回目以降)に備えて「エピペンの携行」や

「医療機関での診断とアレルゲン特定」が推奨されます。

まとめ

私たちにできる予防と対策

アナフィラキシーは予防と初期対応が命を分けます。

予防策

・野外では周囲にハチが飛んでないか観察し、極力ハチの巣に近づかない

・ハチが誘因されそうな香水や明るい色の服を避ける

・食品は表示を確認し、初めて食べるものには注意する

アレルゲンの記録・共有(特に学校や職場)

・万一のためにエピペンの使用方法を事前に学ぶ

・アレルギー持ちの人は医師の診断を受け、常に携帯するのが望ましい。

・周囲の人も、救命処置や119番通報を想定した訓練が望ましい。

自然の中での体験も、日常の食事も、私たちの生活にはリスクと

隣り合わせの瞬間があります。

正しい知識と備えがあれば、恐れすぎることなく、安全に行動できます。

ハチ刺されや食品アレルギーによるアナフィラキシーを「他人事」とせず、

「自分事」として今直ぐにできる対策から始めていきましょう。

食品表示

アレルゲンを含む特定原材料(8品目)は、微量であっても義務表示です。

食品パッケージやメニューにおいて、特定原材料の使用が確認されている場合には、

その特定原材料についての表示は必ず記載しなければなりません。

一方で、特定原材料の使用が確認されていなくても、確認される恐れがある場合に

も極力記載しておくことが大事です。

例えば、この商品を作った工場では、「同じ工場で◯◯を使用しています」等

なお、○○は小麦などの特定原材料を記載してください。

特定原材料に準ずるもの(20品目)は、推奨表示であることは説明しました。

こちらについても、できるだけ使用が確認されているものは記載しておきましょう。

実務での注意点

調理器具やまな板の共用でも微量混入があり得るということ

アレルギー事故の多くは「意図しない混入」が原因なんだということを認識しておくこと

食品製造現場では、アレルゲンを意識した清掃、製造途中品と完成品を分離すること、

表示の管理を徹底することが重要になってきます。


今後も、役立ちそうな情報がありましたら記事にしていきます。

自分が分かっているだけでなく、従業員の注意喚起の意味でもお役に立てれば

幸いです。