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食品表示について、賞味期限と消費期限の違いを行政書士がアドバイス

2025年08月01日 05:32

1. はじめに:なぜ今、賞味期限と消費期限の再確認が必要なのか?


2025年現在、食品ロス削減や食の安全・安心が一層求められる中で、

「賞味期限」「消費期限」の正しい理解が、消費者だけでなく

事業者にとっても重要な課題となっています。


特に近年は、健康志向の高まりやフードロス問題への関心、さらに

インバウンドの増加による多言語対応の必要性など、

食品表示の誤解がトラブルの原因になることも少なくありません。

実際に、店頭で並んでいる商品を見て、この食品表示ちょっと

まずいのではないか?とか

この表示、外国人にとっては全く分からないよね?とか

漢字が読めないので、見分けがつかない。

従業員に聞いてもわからない。などなど。

また、SNSなどの拡散力のあるメディアにより、小さなミスが

大きな信用問題につながる時代でもあります。

そんな中、期限表示をきちんと理解し、正確に伝えることは、

単なる義務ではなく「自分のビジネスを守る武器」ともいえるのです。

2. 賞味期限とは?:「おいしく食べられる期間」の正しい理解と注意点


まず、「賞味期限」とは、

製造者が「この日までなら、品質が変わらずおいしく

食べられます」と保証する期間のことです。

例えば、スナック菓子、レトルト食品、缶詰など、

比較的保存性が高い食品に表示されます。

ここでよくある誤解は「期限が過ぎたらすぐに廃棄すべき」という考え方。


実は、賞味期限は「食べられない日」ではなく、「品質保持の目安」なのです。

期限を過ぎたからといって、ただちに危険というわけではありません。

ただし、これは「未開封かつ適切な保存状態」が前提。

高温多湿の場所に放置されていた場合や、開封後に

長期間放置されていた場合は話が別です。

開封後は「できるだけ早く食べきる」ことが大原則です。

自分のお店は、代表的な食品を官能検査をしているから、

微生物検査を済ませているから大丈夫と過信せずに、

実際の現場で、人の五感も働かせて不良品の提供を食い止めましょう。

消費期限前でも色や味に変化が出ていないか?など

お客様に提供する直前に、再度確認が必要になってきます。


3. 消費期限とは?:「安全に食べられる期間」の重要性と厳守の必要性


一方、「消費期限」は「この日までに食べないと、健康への影響が

出るかもしれない」という安全性の保証ラインです。

例えば、コンビニ弁当、生鮮食品、サンドイッチ、生クリーム入りの

洋菓子など、腐敗や劣化が早い食品に表示されます。

この期限を過ぎた食品を販売・提供することは、微生物による

食中毒のリスクを伴うだけでなく、食品衛生法違反として

行政処分や営業停止につながることもあります。


皆さんも、コンビニエンスストアで弁当やおにぎりを手に取って

会計を済ませようとしたとき、レジで異常音がなり、「この商品は販売

することはできないです。」と、突然告げられた経験はないですか?

大手コンビニ店は、自社グループ内の期限管理をシステム化している

からこそできる凄いことなのですが、飲食店や食品製造業のオーナーの

皆さんもできる限りシビアな目で期限管理に注視していきましょう。

特に飲食店や食品製造業では、「万が一」のリスクを避けるためにも、

スタッフ全員が「消費期限は、絶対に守るべき」として扱う意識が求められます。

責任者が期限管理を怠っていた場合、最悪、刑事責任を問われるケースもあるのです。


その他、知っている人もいると思われますが、プチ情報の提供です。

アイスクリーム類に期限表示は原則不要なのは知っていますか?

食品表示基準第5条の別表第2(期限表示不要品目)の中に、以下の記載があります。

「長期保存が可能であり、かつ微生物による品質劣化の懸念が少ない

冷凍食品(氷菓、アイスクリーム類を含む)」については、

期限表示を省略することができる。と書いてあります。

つまり、製造者が長期保存可能と判断する場合は「期限表示は任意」となるのです。

特に業務用や市販品の多くでは、保存状態さえ適切であれば冷凍下で

長期にわたり品質を維持できるため、省略されていることが一般的です。

ただし、表示省略が認められているのは、あくまで「適切な冷凍状態(-18℃以下)」での

保存・流通・販売が継続して確保されている場合に限ります。

ここも、HACCPと関連してくるポイントです。


4. 混同しないためのポイント:両者の決定的な違いを事例で解説


それでは、実際にどんな食品がどちらの期限にあたるのか、

いくつか事例で見てみましょう。

たとえば「食パン」は、常温で比較的日持ちがしますが、カビなどの

発生リスクもあるため、一般的には消費期限が表示されます。

一方で「乾燥パン」や「クラッカー」のような商品は、

賞味期限が設定されることがほとんどです。

また、「牛乳」は低温で保存しても日持ちしないため、消費期限が基本です。

しかし、常温保存が可能な「ロングライフ牛乳」の場合は賞味期限になります。

このように、「保存性」と「リスク」によって、表示される期限が異なるのです。

現場での誤認を防ぐためにも、スタッフ教育やマニュアル整備が欠かせません。

ここで絶対に頭に入れておかなければならないのは、あくまでも

これらの期限表示は開封前のものだということです。

いったん、開封されてしまうと期限表示は違ったものになります。

マヨネーズやケチャップなどの包装袋には、

・「開封後お早めにお召し上がりください」

・「開封後は、必ず冷蔵庫で保管して下さい」と書かれている文言を

見たことがありませんか?

大体、具体的な数字が書かれていません。

いったん、開封されてしまうと、開封以後は、

「お客様の自己責任で期限を大切にしてくださいね。」

という意味だと思います。


5. あなたのビジネスを守る:法的責任と信用維持の観点から見た期限管理の重要性


表示ミスや管理のずさんさは、ただの「うっかり」では済みません。

消費者に誤った情報を提供することは、景品表示法や食品表示法、

さらには食品衛生法の違反につながる恐れがあり、

最悪の場合、業務停止命令や行政指導、回収命令といった

ペナルティが課されます。


また、一度信用を失えば、信用の回復には長い時間とコストが

かかるのが現実です。期限表示を軽視することは、ビジネスのリスクを

自らがあえて高めていることに他なりません。

逆に、正しい知識と運用体制を整えている事業者は、

消費者からの信頼が厚く、行政からの評価も高まります。

期限表示の管理は、信頼づくりの第一歩といえるでしょう。


6. まとめ:正しい知識で、安全な食と信頼を築く

賞味期限と消費期限は、どちらも「食の安全・安心」を支える大切な指標です。

安全だから安心できるのであって、安心できるから安全ではないのです。

あなたのお店や工場は大丈夫ですか?

賞味期限と消費期限について、オーナーだけでなく、従業員と共に

それぞれの意味を正しく理解し、適切に運用していくことが大切です。

2025年以降、フードロス削減や衛生管理強化が求められる中で、

期限表示への意識は、ますます重要になってきています。

「おいしさ」と「安全」、そして「信用」を守るために

今一度、自分たちのお店や工場製品の表示管理や現場運用を見直してみませんか?

その一歩が、あなたのビジネスの未来を守る大きな力になります。


行政書士は、以下のようなサポートを通じて、トラブルを防ぐお手伝いが可能です。

・必要な営業許可の有無の確認と取得手続きの代行

・メニューや食品パッケージについて、食品表示のアドバイス

・食品表示ラベルの作成支援(法的に必要な項目を含めたチェック)

それでは、これからも役立つ情報を発信していきます。