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家庭で実践する飲食のプロが行う「衛生管理の基本」

2025年08月12日 08:38

こんにちは、行政書士の林です。

大阪では、久しぶりに雨が降りました。気温が多少下がりましたが、

逆に湿度が高まり、ジメジメ感が出て不快指数が高まったような感じです。

一方で、食品に付着している微生物たちにとっては、温度や湿度の高まりは、

生育するのに最適な温度環境になってきています。

そうすると、家庭内では気づきにくい「二次感染」のリスクが拡大していきます。

今回は、家庭でもしっかりと食中毒防御対策がとれるよう、

家庭でできる「衛生管理の基本」を徹底解説します。

家庭こそプロの視点を見習おう!


皆さんは、「食中毒?うちの家は大丈夫やから関係ない」そう思っていませんか?

その思い込みこそが、危険を招く一歩になりかねません。

最近のテレビのニュースでもよく耳にするようになりましたね、「食中毒」という言葉。

多くの人が、そんな話関係あるのは、「飲食店や仕出し業者の話やろ」と考えがちです。

ですが、実は家庭内での発生件数も少なくありません。

厚生労働省の統計でも、家庭が原因とされる事例は一定数存在し、

特に高齢者や子どもが被害に遭うケースも目立ちます。

飲食店や食品工場では、法律で義務化された「HACCP(ハサップ)」と呼ばれる

衛生管理手法に基づいて、厳密なルールの下で業務が行われているはずです。

もちろん家庭にそこまでの厳密なルールを求めるのではありませんが、

「考え方」や「ちょっとした習慣」を取り入れるだけで、リスクは大きく軽減できます。

今回は、プロの厨房で行われている衛生管理の手法を、家庭でも実践しやすい形に

落とし込める方法をご紹介していきます。

手洗いの徹底

料理の第一歩は「手を洗うこと」。当たり前のようなことですが、

それだけで防げる食中毒は多いと考えられます。

プロの厨房では、作業前はもちろん、肉や魚に触れた後、トイレの後など、

状況に応じて何度も手を洗うのが当たり前です。

特に重要視されているのが「二度洗い」です。

飲食店の現場での手洗い手順(家庭向けアレンジ)

1. 流水で目に見える汚れを大まかに洗う。まずは、1回目の手洗い。

2. 石けんで、手のひら、手の甲、手指の間、爪の間、手首まで

しっかり洗浄(目安は、30秒程度)する。これで、2回目の手洗い。

3. 清潔なタオルかペーパータオルで水分を拭き取る。

4. 必要に応じて、手のアルコール消毒を行う。

特に家庭では、「調理の合間」に手を洗わないまま、別の食材を扱ってしまうケースが多く、

それが二次汚染(交差汚染とも呼ばれる)の原因になります。

こまめな手洗いを習慣づけましょう。

調理器具の使い分けと消毒

飲食店では、包丁やまな板を食材ごとに使い分けることが基本です。

特に生肉・生魚は微生物が付着しているリスクが高いため、

専用の調理器具を使用しています。


家庭で実践する使い分けのコツ

・包丁・まな板は最低でも「生肉用」「魚用」「野菜・果物用」の3つの分類が

基本とされています。

用意するのが難しい場合は、使った後すぐに洗剤で洗いするか、

熱湯で消毒するだけでも効果的です。

・塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)で定期的に殺菌消毒する。

・家庭用キッチンハイターなどが該当(食品用の製品)します。

トイレ用ではないので注意して下さい。

・濃度は0.02%(200ppmと表記されている場合もあり)が目安です。

そして、使用後はよく洗い流すこと。塩素臭が気になる人が多いので、

しっかり洗い流しましょう。

漂白剤使用に抵抗がある場合は、85℃以上の熱湯をかけて1分以上放置

することで、ほとんどの食中毒菌は死滅します。

二次汚染(交差汚染とも呼ばれる)の防止

食材の「保管場所」や「調理順序」を間違うことで、食中毒リスクが上がります。

例えば、生肉を処理した包丁でそのまま生のサラダを切ったりする行為です。

これは専門用語で二次汚染と呼びますが、 要するに食材を通じて

有害な菌が別の食材に移ることを意味します。

保存時の工夫

・冷蔵庫では生肉及び丸の魚(1匹丸ごと)は、最下段の専用トレーに収納します。

ドリップが下に落ちないようにする。ちなみに、ドリップとは肉や魚を冷凍、解凍した時や

生の肉や魚の切り身からにじみ出る赤い液体(菌が多く含まれる)のことです。

・加熱済み食品や生で食べる野菜及び果物は上段に分けて保管します。

できれば、ラップや密閉容器を活用してドリップからの二次汚染を防止します。

調理時の工夫

・「生の食材→加熱→盛り付け」の順番を守る

(揚げた唐揚げを生肉を切ったまな板で切り分けて、盛り付けるなどは絶対しない)

・一度使ったトングや箸は、洗わずに別の用途に使わない

(焼き肉屋さんなどで、見かけた人も多いと思われますが、最初に提供された

生肉用のトングは、生肉専用にして、焼いた肉用には使用しないということです。)

・生肉の取り扱いが終わったら、調理台やシンクをすぐに拭き取る

ドリップが飛び散っている可能性があります。

ちょっとした工夫と意識を持つことで、細菌の広がりは劇的に防げます。

食品業界の知識を、家庭の安心に活かす

近年、飲食業界では「HACCPに基づく衛生管理」が義務化され、飲食のプロたちは

日々、科学的根拠に基づいた対策を講じています。

一方で、家庭の主婦は、短時間で簡単に調理するのが主流なので、無法地帯になりがちです。

ですが、飲食店でも家庭でも、食品を扱うという本質は変わりません。

今日から、キッチンでできる「ちょっとした気遣い」始めてみませんか?

なお、本記事は、「食品衛生法および厚生労働省「食品衛生管理に関する指針」等に基づき、

私が見てきた飲食店や食品工場で実践されていることをまとめたものです。


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