家庭で実践する飲食のプロが行う「清掃」と「消毒」のテクニック
2025年08月15日 09:21
こんにちは、行政書士の林です。
大阪では、夏の暑さがまだまだ続く気配です。
一方で、食品に付着している微生物にとっては、良好に生育するのに
最適な温度環境を維持し続けているといえます。
そこで、今回は、家庭でできる食中毒防御対策として、
「清掃」と「消毒」にフォーカスして見ていきましょう。
キッチン全体の清掃と消毒
食中毒ゼロの食品工場の製造ラインを想像してみてください。
常に清掃され、清潔に保たれているイメージではないですか。
その理由は、わずかな菌の付着も許されないからです。
家庭のキッチンも食品を扱う場所だからこそ、徹底した清掃と消毒が求められます。
シンクと排水溝の徹底清掃
シンクは、食材を洗ったり、食器をすすいだりする場所。
常に水が使われるため、湿気が多く、菌が繁殖しやすい環境です。
特に排水溝は、食材カスや石鹸カスが溜まりやすく、菌の温床になりがちです。
毎日のお手入れ
使用後は、食器用洗剤でシンク全体を洗い、水分を拭き取りましょう。
排水溝の蓋や三角コーナーのゴミ受けは毎日外し、ブラシで汚れをかき出し、
洗剤で洗います。
定期的な除菌
週に1回程度、塩素系漂白剤(台所用)を使用して除菌することをお勧めします。
製品の指示に従って希釈し、シンク全体や排水溝に流し込み、
しばらく放置してから水で洗い流します。
なお、塩素系漂白剤はトイレ用ではないことを確認して下さい。
また、まれに塩素系漂白剤とお酢などを混ぜてしまって、塩素ガスが発生して
体調不良を引き起こすケースもありますので注意して下さい。
その他、従来通り、重曹とクエン酸を使った洗浄方法も効果的です。
コンロ周り
調理中に食材の飛び散りや油汚れが付着しやすいのがコンロ周りです。
これらの汚れは、菌のエサとなり、ゴキブリなどの害虫を呼び寄せる原因にもなります。
調理後の拭き取り
調理が終わったら、すぐに固く絞った布巾で油汚れや食材の飛び散りを
拭き取ります。汚れがひどい場合は、キッチン用洗剤を使いましょう。
定期的な徹底清掃
週に一度は、コンロの五徳や魚焼きグリルなども外し、つけ置き洗いや
研磨剤を使って、こびりついた汚れをしっかりと落とします。
冷蔵庫
冷蔵庫は食材を保存する場所ですが、意外な盲点です。
冷蔵庫内にこぼれた食品の汁やドリップ、野菜くずなどが原因で
菌が繁殖することがあります。
定期的な拭き掃除
週に一度は庫内の棚や壁を拭き、月に一度は食品を全て出して、
アルコール消毒液を染み込ませた布で拭き上げる方法も取り入れてみましょう。
整理整頓
食品を詰め込みすぎると冷気の循環が悪くなり、温度ムラが生じやすくなります。
常に整理整頓を心がけ、期限切れの食品は速やかに処分しましょう。
スポンジ・ふきんの衛生管理
定期的な交換、消毒方法、乾燥の重要性
工場の製造ラインで、汚れた清掃用具を使い続けることは考えられません。
家庭でも同じです。毎日使うスポンジやふきんは、実は菌の温床になりやすいのです。
スポンジ
使用後のスポンジには、食べカスや洗剤の残り、水気が含まれているため、
菌が繁殖しやすい環境です。
使用後の管理
使用後は洗剤をよく洗い流し、ぎゅっと絞って水気を切り、
風通しの良い場所で乾燥させましょう。
消毒
週に数回、熱湯消毒(80℃以上の熱湯に数分浸す)や、
薄めた塩素系漂白剤に浸して消毒します。
交換の目安
衛生面を考慮し、月に1回程度は新しいものに交換することをお勧めします。
黒ずみや異臭がする場合は、すぐに交換しましょう。
ふきん
食器拭き、流し台拭き、手拭きなど、用途別に使い分けていますか?
用途を分けることで、菌の拡散を防ぐことができます。
用途別の使い分け
最低でも、食器用と流し台拭き用は分けましょう。
色を変えるなど、一目で区別できるようにすると便利です。
使用後の管理と消毒
使用後はすぐに洗い、清潔な状態にして乾燥させます。
食器用ふきんは、使用後に洗ってから熱湯消毒するか、
洗濯機で洗い、十分に乾燥させましょう。
台拭きも同様に、使用後はすぐに洗い、できれば塩素系漂白剤で
除菌してから乾燥させます。
交換の目安
洗濯しても汚れが落ちなくなったり、匂いが気になったりしたら交換時期です。
食器洗浄機の活用
食品工場では、高温殺菌は当たり前。家庭の食器洗い機も、その力を十分に
発揮すれば、手洗い以上の殺菌効果が期待できます。
高温洗浄の殺菌効果
食器洗浄機は、手洗いでは難しい高温での洗浄・乾燥が可能です。
多くの機種で60℃以上の高温で洗浄するため、食中毒菌の多くを
死滅させる効果が期待できます。
特に、ノロウイルスのように熱に弱いウイルスにも有効です。
正しい使い方
ただ食器洗浄機に食器を入れるだけでは、効果は半減してしまいます。
洗剤の補充は大丈夫か?定期的に確認して下さい。
洗う順番も、先にグラスは、グラスだけで先に洗ってしまい、
その後、お皿や容器を洗うなど工夫して下さい。
予洗いの徹底
大きな食べカスは、食器洗い機に入れる前にある程度取り除いてください。
これにより、フィルターの目詰まりを防ぎ、洗浄効果を最大限に引き出せます。
適切な配置
食器が重なり合わないように、またスプレーアームの回転を妨げないように、
適度な間隔を空けて配置しましょう。
この記事は食品衛生法、厚生労働省「家庭における食中毒予防の6つのポイント」および
「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書」等を参照し、
私が見てきた飲食店や食品工場で実践されていることをまとめたものです。