2027年照明問題は「安全」と「衛生」に直結する課題
2025年10月16日 22:18
食品工場のオーナーや管理者の皆様、もうご存じとは思いますが、2027年末までに蛍光灯の製造および輸出入が禁止されます。
このLED化の波は、コストや生産効率の問題としてだけでなく、工場で働く従業員の「安全」と「健康」を守る上でも、重要な検討課題となります。
労働衛生委員会や労働安全衛生委員会(以下、委員会)で、この問題を単なる設備投資として終わらせず、「照度基準の再検討」と「作業環境の改善」という視点から議論すべきです。
1. 労働安全衛生法:安全な作業環境確保の義務
労働安全衛生法は、事業者に「快適な職場環境の形成」や「危険の防止」を義務付けています。この観点から、LED化に際して以下の2点を委員会で協議する必要があります。
(1) 照度基準の維持・向上と目の健康
労働安全衛生法に基づく「事務所衛生基準規則」では、精密な作業を行う場所で300ルクス(lx)以上、 その他の作業を行う場所で150ルクス以上など、作業区分に応じた照度の最低基準が定められています。食品工場もこの基準を満たさなければなりません。
LED切り替え時のリスク: 蛍光灯からLEDへ単にランプを差し替えるだけでは、照度(明るさ)が均一でなかったり、必要な照度を下回ったりするケースがあります。特に古い安定器をそのまま利用する場合、LEDの性能が十分に発揮されないこともあります。
委員会の検討事項: LED化の設計段階で、各作業エリアの照度が基準をクリアし、かつ作業者の目の疲労を軽減できるよう、明るさのムラやまぶしさを考慮した製品選定と配置を検討する必要があります。また、食品工場で精密な検査を行う場所(異物検査など)では、どれ位の高照度を検討すべきか、委員会で議論が必要です。
(2) フリッカー(ちらつき)対策と体調管理
蛍光灯の点滅(フリッカー)は肉眼では捉えにくくても、作業者の集中力低下や頭痛、眼精疲労の一因となることがあります。
LED化のメリットと注意点: 最新の高性能LED照明はフリッカーがほとんどなく、作業環境の改善につながります。 しかし、設置した後で、フリッカーが発生する場合もあります。
委員会の検討事項: LED照明の仕様を確認し、フリッカーレス製品を選定することで、作業者の健康を守る取り組みとすべきです。
2. 食品衛生法:異物混入防止と衛生管理の徹底
食品衛生法は、消費者に安全な食品を提供するための基準を定めており、HACCP制度導入が原則化された現在、照明は「設備の構造」の一部として厳しく管理されます。
(1) 物理的危険(異物混入)の予防
蛍光灯のガラス管は破損すると異物混入の最大のリスクとなります。
委員会の検討事項: LED化計画において、生産エリアや検査エリアなど、
特にリスクの高い場所から優先的に飛散防止カバー付きまたは完全密閉型のLED器具へ交換するよう推奨すべきです。
(2) 視認性向上によるヒューマンエラーの削減
食品衛生管理において最も重要なのは、作業員による「目視による確認」です。色温度と識別性: 検査や選別作業では、色の違いを正確に識別できる照明が必要です。
委員会の検討事項: 現場作業員からの聞き取りを行い、「照明の色合いを変えることで、異物や不良品の発見が容易になるか」を検証し、エリアごとに最適な色温度と演色性のLEDを導入する提言をすべきです。
3. 労働衛生委員会による具体的なアクション
2027年問題への対応を、以下のプロセスで委員会の正式議題として位置づけてください。
1. 現状評価とリスク特定: 全蛍光灯のリストアップと、照度・異物混入リスク評価を実施。
2. 法規遵守の確認: 各作業エリアの現状の照度が労働安全衛生法に基づく最低基準を満たしているか確認。
3. LED化の技術的検討: LED化後の照度、均斉度、まぶしさ、フリッカー、演色性が作業者の安全と目の健康を向上させるか、技術部門と連携して検討。
4. 改善提案と予算申請: 委員会として、上記の衛生・安全視点からの推奨事項をまとめたLED化計画を策定し、経営層へ予算化を提言。
まとめ
照明の2027年問題への対応は、単に「ランプが買えなくなるから」という消極的な理由だけでなく、「働く人の安全と健康を守り、食品の安全性を高める」という積極的な理由で取り組むべきです。